毎月返済しているのに、元本がなかなか減らない。
その大きな原因は、毎月の返済額の一部が利息に充てられ、延滞している場合は遅延損害金も加算されるためです。
任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉し、主に将来利息・経過利息・遅延損害金の負担を軽くすることを目指す手続きです。
一方、借りた元本そのものは原則として残ります。そのため、「任意整理で借金がいくら減るか」は、元本の減額ではなく、今後支払う予定だった利息などを含む総返済額がどれだけ少なくなるかで考える必要があります。
この記事では、借金100万〜500万円を例に、任意整理後の総返済額と月々の返済額をシミュレーションします。
まずは、任意整理で減る可能性があるものと、原則として残るものを確認しましょう。
- 任意整理で総返済額がいくら減るのか目安がわかる
- 任意整理後の月々の返済額をシミュレーションできる
- 自分の収入で任意整理が現実的か判断しやすくなる
- 個人再生・自己破産との違いがわかる
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任意整理で減るのは主に利息|元本は原則残る
任意整理とは、裁判所を原則として利用せず、弁護士や司法書士が貸金業者・カード会社などの債権者と返済条件を交渉する債務整理の方法です。
残っている債務額と家計状況を確認し、無理のない範囲で分割返済できる計画を作ることが主な目的です。
なお、認定司法書士が代理交渉できるのは、原則として債権者1社あたりの元本が140万円以下の事案です。1社の元本が140万円を超える場合や、超える可能性がある場合は、弁護士への相談を検討しましょう。
任意整理では、一般的に次のような支払いを減額・カットする方向で交渉します。
- 将来利息
- 和解成立後から完済までに発生する予定だった利息です。任意整理で負担軽減を目指す中心的な部分です。
- 経過利息
- 最後の返済日などから和解成立日までに発生した利息です。債権者との交渉で減免を求めることがあります。
- 遅延損害金
- 返済が遅れた場合に契約に基づいて発生する損害金です。貸金業者からの借入では原則として年20%が上限ですが、取引の種類や契約によって扱いが異なります。
ただし、任意整理は債権者との合意で成り立つ手続きです。将来利息、経過利息、遅延損害金を必ず全額カットできるわけではありません。
和解がまとまり、今後の利息を付けない条件になれば、毎月の返済額の多くを和解時に確定した債務の返済に充てられるため、完済までの見通しを立てやすくなります。
任意整理で元本が減るのは例外的なケース
任意整理で重要なのは、元本は原則として減らないという点です。
自己破産のように、免責許可によって返済義務を免れるための手続きではありません。また、個人再生のように、法律上の基準に基づいて元本を圧縮する手続きでもありません。
ただし、次のような場合には、結果として元本が減ることがあります。
- 利息制限法の上限を超える金利で取引しており、引き直し計算で過払い金が見つかった場合
- 消滅時効が完成し、時効を援用できる場合
- 債権者が個別事情を踏まえ、元本の一部減額に応じた場合
多くのケースでは、和解時に確定した債務額を3年以内、事情によっては5年程度で分割返済できるかが判断の軸になります。ただし、5年返済に応じるかどうかは債権者によって異なります。
通常の任意整理で扱いにくい支払い
任意整理は、すべての支払いに同じように利用できるわけではありません。
次の支払いは通常の任意整理で減額する対象ではないか、対象にすると財産や保証人への影響が生じやすいため、別の対応が必要です。
- 税金・国民健康保険料・国民年金保険料
- 貸金業者などとの任意整理の対象にはなりません。税金や国民健康保険料は税務署・自治体へ相談し、国民年金保険料は免除・納付猶予制度を利用できるか確認します。
- 養育費・婚姻費用
- 未払い分は通常の任意整理で減らす対象ではありません。収入の変動などで将来分の支払いが難しくなった場合は、家庭裁判所で増額・減額調停などを検討します。
- 罰金・科料
- 刑事罰に関する支払いであり、任意整理で減額する対象にはなりません。
- 担保付きローン・保証人付きの借金
- 交渉の対象にすること自体が直ちに禁止されるわけではありませんが、住宅ローンや自動車ローンでは担保権の実行や車の引き揚げにつながることがあります。保証人付きの借金を対象にすると、保証人へ請求が行く可能性があります。
任意整理では、交渉する債権者を選べることがあります。家や車を残したい場合や、保証人への請求を避けたい場合は、どの債務を対象にするかを専門家と慎重に決めましょう。
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100万円の利息負担は約25万〜43万円減る可能性がある
任意整理による負担軽減の目安は、通常返済と任意整理後の返済を比べるとわかりやすくなります。
以下は、100万円を年15%で借り、借入残高全額を今から元利均等返済で3年または5年かけて完済する場合と、将来利息0%で和解できた場合を比べた単純シミュレーションです。
| 返済期間 | 返済方法 | 月々の返済額 | 総返済額 | 利息・支払総額の差 |
|---|---|---|---|---|
| 3年 | 通常返済 | 約35,000円 | 約125万円 | 支払う利息は約25万円 |
| 3年 | 任意整理後 将来利息0% | 約28,000円 | 100万円 | 通常返済より約25万円少ない |
| 5年 | 通常返済 | 約24,000円 | 約143万円 | 支払う利息は約43万円 |
| 5年 | 任意整理後 将来利息0% | 約17,000円 | 100万円 | 通常返済より約43万円少ない |
同じ100万円でも、返済期間が長いほど通常返済で発生する利息は大きくなります。そのため、将来利息をカットできた場合の支払総額の差も大きくなります。
ただし、これは現在の残高全額を年15%で今から返済するという試算です。実際の減額幅は、現在の金利、残りの返済期間、返済方法、滞納状況、債権者の和解条件によって変わります。
また、弁護士費用・司法書士費用や振込手数料もかかるため、任意整理による実質的な負担軽減額は個別に確認しましょう。
経過利息・遅延損害金も交渉対象になる
返済が遅れている場合、遅延損害金が加算されていることがあります。貸金業者からの借入に関する遅延損害金は、原則として年20%が上限です。
任意整理では、債権者から取引履歴を取り寄せ、必要に応じて利息制限法の上限利率で引き直し計算を行います。そのうえで債務額を確定し、経過利息・遅延損害金・将来利息を付けない、または減らす内容の和解案を提示します。
もっとも、利息等の免除を法律によって一律に強制できるわけではありません。債権者によっては、頭金、短い返済期間、経過利息や将来利息の一部負担などを求めることがあります。
過払い金があると元本が減ることもある
2010年6月17日以前から、利息制限法の上限を超える金利で取引していた場合は、引き直し計算によって過払い金が見つかることがあります。
過払い金が現在の残元本より少なければ、残元本に充当することで借金が減ります。過払い金が残元本を上回れば、借金がなくなり、差額の返還を受けられる可能性もあります。
ただし、2010年6月17日以前の取引であっても、当時の金利が利息制限法の範囲内なら過払い金は発生しません。銀行カードローンやショッピングリボ、2010年6月18日以降に始めた貸金業者との取引では、一般に過払い金は期待しにくいと考えられます。
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借金総額別の任意整理シミュレーション
ここでは、借金100万〜500万円について、任意整理後の月々の返済額と、将来利息をカットできた場合の支払総額の差を比較します。
前提は以下の通りです。
- 通常返済の条件
- 現在の借金総額を年15%、元利均等返済で、今から3年または5年かけて完済する場合
- 任意整理後の条件
- 経過利息や遅延損害金が残らず、将来利息0%で和解できたと仮定し、元本を36回または60回で分割返済する場合
- 注意点
- 金額は千円単位または万円単位で丸めています。弁護士費用・司法書士費用、振込手数料、現在の返済条件、債権者ごとの和解条件は含めていません。
| 借金総額 | 任意整理後 3年返済 | 任意整理後 5年返済 | 3年返済で減る利息目安 | 5年返済で減る利息目安 |
|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 約28,000円/月 | 約17,000円/月 | 約25万円 | 約43万円 |
| 200万円 | 約56,000円/月 | 約33,000円/月 | 約50万円 | 約85万円 |
| 300万円 | 約83,000円/月 | 約50,000円/月 | 約74万円 | 約128万円 |
| 400万円 | 約111,000円/月 | 約67,000円/月 | 約99万円 | 約171万円 |
| 500万円 | 約139,000円/月 | 約83,000円/月 | 約124万円 | 約214万円 |
借金総額が大きいほど、シミュレーション上の将来利息も大きくなります。
ただし、任意整理では元本が原則として残るため、借金総額が大きいほど、利息をカットできても毎月の返済額は重くなります。
借金100万円なら任意整理後は月1.7万〜2.8万円が目安
借金100万円なら、将来利息0%を前提として、5年返済で月々約17,000円、3年返済で月々約28,000円が目安です。
月々の負担を抑えるには5年返済が考えられますが、返済期間は自由に選べるわけではありません。債権者が5年返済に応じない場合は、3年程度の返済案を求められることがあります。
家計の黒字額だけでなく、急な出費に備える金額も残したうえで、継続できる返済案を作ることが大切です。
借金200万〜300万円は5年返済で月3.3万〜5万円
借金200万円なら5年返済で月々約33,000円、300万円なら月々約50,000円が目安です。
この金額を生活費や不定期支出を差し引いた家計黒字の範囲で、継続して支払えるなら、任意整理による返済を検討しやすくなります。
一方、毎月安定して返済に回せる金額が2万円程度しかない場合、300万円を任意整理だけで返すのは難しいと考えられます。その場合は、個人再生など他の手続きも比較しましょう。
借金400万〜500万円は5年返済でも月6.7万〜8.3万円
借金400万円を5年で返すには月々約67,000円、500万円なら月々約83,000円が必要です。
将来利息をカットできた場合の支払総額の差は大きいものの、元本自体は重く残ります。
手取り収入、家族構成、住居費などによっては、5年返済でも生活費を圧迫する可能性があります。無理な条件で和解して再び滞納するより、個人再生や自己破産も含めて比較した方が生活再建につながる場合があります。
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将来利息0%なら月々の返済額は「和解額÷返済回数」
将来利息0%で和解できた場合、任意整理後の月々の返済額は、基本的に次の計算で見積もれます。
たとえば、経過利息や遅延損害金を含む和解額が180万円なら、36回返済で月々約50,000円、60回返済で月々約30,000円です。
将来利息を付けない条件で和解できれば、通常のローン返済と異なり、返済期間中に新たな利息が加算されないため、総返済額を把握しやすくなります。
ただし、経過利息や遅延損害金の一部が和解額に含まれる場合があります。弁護士費用・司法書士費用、振込手数料、債権者の条件によっても毎月の実負担は変わります。
返済額は「ギリギリ払える額」ではなく「確実に払える額」にする
任意整理で大切なのは、和解後の返済を完済まで継続できることです。
病気、冠婚葬祭、家電の故障など、予定外の出費が発生することもあります。毎月の黒字をすべて返済に回す計画では、出費が重なったときに返済が難しくなる可能性があります。
家賃・食費・水道光熱費・通信費・保険料・医療費などの生活費に加え、税金、車検、更新費用などの不定期支出も月割りで見積もりましょう。
そのうえで、急な出費に備える予備費を残しても毎月確保できる金額を、返済可能額として考えることが大切です。
月々の返済額が増えるケースもある
任意整理をすれば、必ず月々の返済額が下がるとは限りません。
たとえば、銀行ローンのように金利が低い借入や、7年〜10年など長期返済の借入を任意整理すると、利息が減っても返済期間が短くなり、月々の返済額が増えることがあります。
任意整理を決める前に、現在の月々返済額・残りの返済期間・総返済額と、任意整理後の条件を比較しましょう。
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任意整理で元本があまり減らないケースと限界
任意整理は、主に利息負担を軽くして返済条件を整える手続きです。そのため、元本が大きすぎる場合は、利息をカットできても返済が難しいことがあります。
元本を3〜5年で返せないなら他の手続きも検討する
任意整理が合うかどうかは、借金総額だけでは決まりません。
判断の中心は、和解時に確定した債務額を3〜5年程度で返済できるかです。
- 任意整理後の返済額が、毎月安定して確保できる家計黒字の範囲に収まる
- 返済しながら、生活費を新たな借入やクレジットカードに頼らず払える
- 不定期支出や急な出費に備える余裕を残せる
これらの条件を満たせない場合、任意整理をしても、和解後に再び滞納するリスクが高くなります。
元本を返し切る見込みが立たない場合は、任意整理にこだわらず、個人再生や自己破産も比較しましょう。
時効が完成していても「援用」が必要
長期間返済していない消費者金融やカード会社の借金では、消滅時効が完成している可能性があります。
現在の民法では、債権は原則として「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い時点で時効により消滅すると定められています。
ただし、実際の起算点は返済期日や期限の利益を失った時期などによって異なります。2020年4月1日より前に生じた債権には旧民法が関係する場合もあります。
また、裁判、支払督促、差押え、債務の承認などがあると、時効の完成時期や取り扱いが変わります。債権者から請求を受けた日だけで判断することはできません。
時効期間が経過していても、原則として債務者が時効を援用しなければ支払いを拒めません。長期間放置している借金がある場合は、返済、分割交渉、債務を認める発言をする前に専門家へ確認しましょう。
任意整理では足りないと判断されやすいケース
次のような場合は、任意整理だけでは解決が難しい可能性があります。
- 安定した収入がない、または収入から返済原資を確保できない
- 任意整理後の月々返済額が、家計の黒字額を超えている
- 5年で分割しても、必要な返済額を継続して確保できない
- 税金・社会保険料・養育費など、任意整理で減らせない支払いが多い
- 借金返済や生活費のために、新たな借入やカード利用を続けている
このような場合は、個人再生や自己破産を含めて比較し、家計を立て直せる方法を選ぶことが重要です。
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過払い金がある場合は追加で元本が減る可能性がある
過払い金とは、利息制限法の上限を超えて支払った利息を、法定の上限利率で計算し直した結果、払いすぎていたと判断される金額です。
任意整理では、債権者から取引履歴を取り寄せ、必要に応じて利息制限法の上限利率で引き直し計算を行います。過払い金があれば、現在の残元本に充当できます。
過払い金が発生しやすい取引
過払い金の可能性を確認した方がよいのは、主に次のような取引です。
- 2010年6月17日以前から借入をしている
- 利息制限法の上限を超える金利で取引していた
- 消費者金融や信販会社のキャッシングを長期間利用していた
ただし、2010年6月17日以前に借りていたという理由だけで、必ず過払い金が発生するわけではありません。当時から利息制限法の範囲内の金利だった場合は、過払い金は発生しません。
また、完済から長期間が経過している場合や、その後に裁判上の請求などがない場合は、過払い金返還請求権が時効により消滅している可能性があります。
過払い金の充当で借金がゼロになることもある
- 過払い金が残元本より少ない場合
- 残元本から過払い金を差し引き、借金が減ります。
- 過払い金が残元本以上ある場合
- 借金がなくなり、差額の返還を受けられる可能性があります。
たとえば、残元本が30万円で、引き直し計算による過払い金が50万円あった場合、借金がなくなり、差額20万円の返還を受けられる可能性があります。
一方、銀行カードローンやショッピングリボ、2010年6月18日以降に開始した貸金業者との取引では、一般に過払い金は期待しにくいと考えられます。
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任意整理・個人再生・自己破産の減額幅を比較
任意整理で返済が難しい場合は、個人再生や自己破産と比較しましょう。
どの手続きが合うかは、借金総額、継続的な収入、財産、住宅ローンや保証人の有無などによって変わります。
| 手続き | 主な効果 | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 任意整理 | 主に将来利息・経過利息・遅延損害金の減免を交渉 | 和解額を3〜5年程度で返せる人 | 元本は原則残る 債権者ごとの合意が必要 |
| 個人再生 | 裁判所を通じて元本を減額できる可能性がある | 継続的な収入があり、元本全額の返済は難しい人 | 官報に掲載される 財産や手続きの種類によって返済額が変わる |
| 自己破産 | 免責が認められれば、多くの借金の返済義務を免れる | 収入や財産から見て返済が現実的に難しい人 | 一定の財産が処分対象になる場合がある 税金などは残る |
個人再生は借金が大きい人に向くことがある
個人再生は、裁判所を通じて再生計画を作り、減額後の借金を原則3年、特別な事情がある場合は最長5年で分割返済する手続きです。
住宅ローンを除く借金などが5,000万円以下で、将来にわたって継続的な収入を得る見込みがあることなどが利用条件になります。
小規模個人再生では、借金額に応じて次の法定最低弁済額が定められています。
| 借金総額の目安 | 法定最低弁済額の目安 |
|---|---|
| 100万円未満 | 借金全額 |
| 100万円以上500万円以下 | 100万円 |
| 500万円超1,500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
| 1,500万円超3,000万円以下 | 300万円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 借金総額の10分の1 |
たとえば、借金700万円なら、法定最低弁済額だけを基準にすると140万円です。これを3年で返済する場合は、月々約39,000円になります。
同じ700万円を任意整理で将来利息0%・5年返済にすると、元本だけでも月々約117,000円です。返済額だけを比べると、個人再生の方が現実的な場合があります。
ただし、個人再生の返済額は法定最低弁済額だけで決まりません。保有財産の価値を基準にする清算価値保障原則によって返済額が上がることがあります。給与所得者等再生では、可処分所得を基準とした金額も考慮されます。
住宅ローンを残すために住宅資金特別条項を利用する場合も、住宅やローン契約などが制度の条件を満たすか確認が必要です。
自己破産は返済が現実的に難しい場合の手続き
自己破産は、支払不能の状態にある人が裁判所に申立てを行い、財産や負債を整理する手続きです。
破産手続を申し立てただけで借金がなくなるわけではありません。裁判所から免責許可を受けることで、多くの借金について返済義務を免れます。
ただし、税金、国民健康保険料、一定の養育費・婚姻費用、罰金などは非免責債権に該当し、免責後も原則として支払義務が残ります。
また、一定の財産が処分対象になることがあります。手続き中は、警備員や保険募集人など一部の資格・職業に制限が生じる場合もあります。
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任意整理が向いている人・向かない人
任意整理が向いているかどうかは、借金総額だけでは決まりません。
将来利息を減らせても元本は原則として残るため、和解後の返済額を家計の黒字内で継続して支払えるかが重要です。
ここでは、任意整理が向いている人・向かない人の特徴を整理します。
任意整理が向いている人
- 継続的な収入がある
- 利息の負担が軽くなれば、和解額を3〜5年程度で返せる
- 生活費と不定期支出を差し引いた家計黒字の範囲で返済できる
- 住宅ローンや自動車ローンなどを交渉対象から外したい
- 裁判所手続きや官報への掲載を避けたい
任意整理は、正社員だけでなく、パート・アルバイト・自営業でも、継続して返済できる収入があれば検討できます。
裁判所を原則として利用しないため、個人再生や自己破産より柔軟に交渉できることがあります。債権者を選んで交渉できる点も特徴です。
任意整理が向いていない人
- 和解額を5年で割っても、月々の返済額が家計黒字を超える
- 収入が不安定で、継続的に返済できる見込みが低い
- 生活費を支払うために新たな借入が必要な状態にある
- 税金や養育費など、任意整理で減らせない支払いの負担が大きい
- 債権者が短期返済や利息の支払いを求め、家計に合う和解が難しい
たとえば、借金500万円を将来利息0%で5年返済にしても、元本だけで月々約83,000円が必要です。
この金額を5年間払い続けるのが難しい場合は、任意整理だけでなく、個人再生や自己破産も比較した方がよいでしょう。
家族や職場に知られにくいが、絶対に知られないわけではない
任意整理は裁判所を原則として利用しないため、個人再生や自己破産のような官報公告はありません。
そのため、家族や職場に知られにくい傾向があります。
ただし、弁護士・司法書士からの郵便物、保証人への請求、銀行口座の利用制限、家族カードの停止などをきっかけに知られる可能性はあります。
「絶対に知られない」と考えるのではなく、郵便物の送付方法や保証人・銀行口座への影響を事前に専門家へ確認しておきましょう。
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任意整理の手続きの流れとシミュレーションの進め方
任意整理を検討する際は、手続きの流れを把握するとともに、和解後の返済額を事前に試算しておくことが大切です。
ここでは、相談から和解・返済開始までの基本的な流れと、自分でできる簡易シミュレーションの方法を解説します。
任意整理の基本ステップ
- 弁護士・司法書士へ相談する
- 依頼後、債権者へ受任通知を送る
- 取引履歴を取り寄せる
- 必要に応じて利息制限法に基づく引き直し計算を行う
- 債務額と家計状況をもとに返済案を作る
- 債権者と和解交渉する
- 和解成立後、合意した条件で返済を開始する
弁護士や認定司法書士からの受任通知が貸金業者に届くと、本人への直接取立ては止まるのが原則です。
ただし、受任通知によって訴訟や差押えまで自動的に止まるわけではありません。個人の債権者や、すでに裁判手続きが進んでいる場合などは、別途対応が必要になることがあります。
自分でできる簡易シミュレーション
相談前に次の情報を整理しておくと、任意整理による返済が現実的か判断しやすくなります。
- 借入先ごとの残高
- 金利
- 毎月の返済額と返済期日
- 保証人や担保の有無
- 毎月の収入、生活費、不定期支出
まず、合計残高を36回、48回、60回で割ってみましょう。
ただし、実際の和解額には経過利息や遅延損害金が残る可能性があります。簡易計算で出した金額が家計黒字に収まっていても、余裕がほとんど残らない場合は慎重な判断が必要です。
現在の条件で今後どれくらい利息を支払う予定なのかは、日本貸金業協会などの返済シミュレーションでも確認できます。
相談前に準備するとよい資料
- 債権者一覧(会社名・残高・毎月返済額)
- カード、契約書、利用明細、督促状
- 給与明細、源泉徴収票、確定申告書などの収入資料
- 家計の収支表
- 預金、車、保険、不動産などの資産情報
- 保証人・担保の有無がわかる資料
資料がそろっているほど、任意整理で返済できるか、個人再生や自己破産の方が生活再建につながるかを具体的に判断しやすくなります。
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任意整理のデメリットと信用情報への影響
任意整理には、利息負担を軽くして返済計画を立て直しやすくなる一方、信用情報やクレジットカード、ローン、銀行口座などへ影響する可能性があります。
手続き後の生活で困らないよう、主なデメリットと事前に確認すべき注意点を見ていきましょう。
信用情報に登録され、カードやローン審査に影響する
任意整理をすると、契約内容、返済状況、延滞、契約終了、債務整理などに関する情報が、信用情報機関ごとの基準に基づいて登録されることがあります。
一般に「ブラックリストに載る」と表現されますが、CICは「ブラックリストという名のリストはない」と説明しています。実際には、信用情報機関に登録された契約内容や支払状況などを、カード会社や金融機関が審査の参考にします。
また、CICでは、弁護士・司法書士に債務整理を依頼した事実そのものを示すコメント項目はありません。ただし、支払いの遅れ、残高、契約の終了など、加盟会社から登録された客観的な取引事実は信用情報に反映されます。
JICCでは、債務整理が「取引事実に関する情報」の登録項目に含まれています。契約日が2019年10月1日以降の場合、契約継続中および契約終了後5年以内が登録期間とされています。
全国銀行個人信用情報センターでは、契約内容や返済状況などの取引情報が、契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間登録されます。完済前に契約が終了した場合は、完済日が基準になります。
登録内容や期間は、信用情報機関、契約日、登録項目、完済日・契約終了日などによって異なります。「任意整理後は一律に完済から5年」とは限らないため、正確に確認するには各機関の本人開示を利用しましょう。
任意整理後に難しくなりやすいこと
- 新しいクレジットカードの作成
- 住宅ローンや自動車ローンの契約
- スマホ端末の分割購入
- カードローンやキャッシングの利用
- 既存カードの更新・継続利用
審査結果は各社の判断であり、信用情報に一定の情報が登録されているだけで、すべての契約が法律上一律に禁止されるわけではありません。ただし、新規契約や既存カードの更新が難しくなる可能性は高くなります。
任意整理後は、現金、口座振替、デビットカード、プリペイドカードなどを中心に生活できるよう、支払い方法を見直しておきましょう。
銀行口座の一時的な利用制限やカード停止に注意
任意整理の対象にしたクレジットカードやカードローンは、原則として利用できなくなります。
銀行カードローンを対象にした場合は、その銀行の預金口座からの引き出しなどが一時的に制限され、預金と借金が相殺されることがあります。給与振込や生活費の引き落としに利用している場合は、依頼前に専門家へ確認しましょう。
また、保証人付きの借金を任意整理すると、保証人に請求が行く可能性があります。保証人がいる場合は、必ず相談時に専門家へ伝えてください。
再び多重債務に陥らないために家計を見直す
任意整理は、現在の借金の返済条件を整える手続きです。
生活費の不足をカードや借入で補う状態が続くと、任意整理後も家計が再び行き詰まるおそれがあります。
家賃、通信費、保険料、サブスクリプション、車の維持費などを見直し、返済を続けながら新たな借入に頼らず生活できる家計に整えることが大切です。
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任意整理で減らない支払いと別途必要な対応
任意整理をしても、税金・社会保険料・養育費・罰金など、原則として減額できない支払いがあります。
また、家賃や公共料金の滞納は生活への影響が大きいため、任意整理とは別に支払先への相談が必要です。ここでは、減らない支払いの種類と、それぞれの対応方法を解説します。
税金・社会保険料は役所などへ早めに相談する
税金、国民健康保険料、国民年金保険料などは、貸金業者との任意整理で減額する対象ではありません。
自己破産をしても原則として支払義務が残ります。税金や国民健康保険料を滞納している場合は、税務署や自治体へ早めに相談しましょう。
国民年金保険料を支払うことが難しい場合は、所得などの条件を満たせば免除制度や納付猶予制度を利用できる可能性があります。
何も対応せずに放置すると、延滞金が加算されたり、預金や給与などの差押えにつながったりする可能性があります。利用できる制度や納付方法を窓口で確認しましょう。
養育費は家庭裁判所で将来分の見直しを検討する
養育費の未払い分は、任意整理や自己破産によって簡単に免れるものではありません。
ただし、予定していなかった収入の変動、子どもの進学、再婚などの事情変更がある場合は、家庭裁判所で将来分の増額・減額を求められることがあります。
相手方との合意や家庭裁判所の手続きを経ずに支払いを止めると、履行勧告や給与・預金の差押えにつながる可能性があります。早めに法的な手続きを確認しましょう。
公共料金や家賃は任意整理とは別に支払い方法を相談する
公共料金や家賃の滞納は、税金や社会保険料とは扱いが異なります。
放置するとライフラインの停止や賃貸借契約上のトラブルにつながることがあるため、任意整理と並行して、事業者や大家・管理会社に支払い方法を相談しましょう。
どの支払いを優先すべきか迷う場合は、一部の債権だけでなく、税金、家賃、生活費を含む家計全体を専門家に伝えることが大切です。
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専門家への相談で自分の減額見込みを確認する
任意整理でいくら負担を減らせるかは、借入先、金利、取引期間、滞納状況、過払い金の有無、家計状況によって変わります。
簡易シミュレーションだけで決めず、弁護士や司法書士に取引履歴や家計状況を見てもらい、任意整理後の返済額と他の手続きも比較しましょう。
法テラスの無料相談や費用立替制度を確認する
法テラスでは、収入や資産などの条件を満たす場合、弁護士・司法書士による無料法律相談を利用できます。
無料相談は、同一の問題につき3回まで、1回30分程度です。利用には収入・資産などの基準があるため、事前に公式サイトで確認しましょう。
民事法律扶助制度を利用できる場合は、弁護士・司法書士費用や実費を法テラスが立て替え、利用者が原則として分割で返済します。
法テラスが公表している任意整理事件の費用目安では、債権者1社の場合、着手金33,000円、実費10,000円、合計43,000円です。
これは民事法律扶助制度を利用する場合の目安であり、一般の法律事務所・司法書士事務所の費用相場を示すものではありません。実際の費用は事件内容や審査によって変わります。
相談時に確認したいポイント
- 任意整理による和解が見込める債権者か
- 将来利息、経過利息、遅延損害金をどこまで減免できる見込みか
- 和解額と月々の返済額はいくらになる見込みか
- 月々の返済額が家計黒字の範囲に収まるか
- 個人再生や自己破産の方が生活再建につながる可能性はないか
- 保証人・担保・銀行口座への影響はないか
- 費用総額と分割払いの条件
一つの事務所で説明に納得できない場合は、別の事務所でセカンドオピニオンを聞くことも選択肢です。
任意整理で返済できると思っていても、家計を詳しく確認すると個人再生の方が現実的な場合があります。反対に、自己破産しかないと思っていても、任意整理や個人再生で解決できることがあります。
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まとめ
任意整理は、主に将来利息、経過利息、遅延損害金の減免を交渉し、和解時に確定した債務を分割返済する手続きです。
- 減る可能性があるもの
- 将来利息、経過利息、遅延損害金など
- 原則として残るもの
- 借りた元本
- 返済期間
- 3年以内が多く、事情や債権者の同意によって5年程度になることもある
- 判断基準
- 和解額を家計黒字の範囲で完済まで返済できるか
借金100万円なら、将来利息0%で和解できた場合の月々返済額は、5年返済で約17,000円、3年返済で約28,000円です。
一方、借金500万円では、5年返済でも元本だけで月々約83,000円が必要です。利息をカットできても元本を返し切れない場合は、個人再生や自己破産も比較しましょう。
実際の減額幅や返済条件は、借入先、取引期間、金利、滞納状況、過払い金の有無によって変わります。
まずは借金総額を36回・60回で割り、生活費や不定期支出を支払った後でも確実に返せる金額か確認しましょう。そのうえで専門家に相談し、任意整理後の条件と他の債務整理を比較することが大切です。
任意整理と減額に関するFAQ
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出典
公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会「多重債務Q&A 第5章 任意整理について」
日本貸金業協会「上限金利について」
日本貸金業協会「返済シミュレーション」
e-Gov法令検索「利息制限法」
e-Gov法令検索「民法」
e-Gov法令検索「民事再生法」
e-Gov法令検索「破産法」
裁判所「破産・個人再生手続に関するよくある質問」
株式会社シー・アイ・シー「支払いが遅れると、ブラックリストとしてCICに登録されるのですか?」
株式会社シー・アイ・シー「債務整理を依頼した事実は信用情報に登録されますか?」
株式会社シー・アイ・シー「CICに登録されている信用情報は、どれくらいの期間登録されているのですか?」
日本信用情報機構「信用情報の内容と登録期間」
全国銀行協会「全国銀行個人信用情報センター センターの概要」
裁判所「養育費に関する手続」
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
法テラス「無料法律相談のご利用の流れ」
法テラス「民事法律扶助業務」
法テラス「任意整理 費用の目安」
